第4回勉強会:中島氏(アドアルファ 代表)

■2006.11.16 第4回勉強会
 発表者:アドアルファ 中島 洋史氏
 テーマ :「記憶の継承」

吉原:連絡事項なんですが、1回目は小柳さんに不動産地検管理のお話しを、2回目は信濃さんに室内側から見たリノベーションと、リノベーションと文化に対する投げかけを、3回目は井手さんの大きい取組みを発表頂いたんですが内容が想定以上に良いものですので、形にしていこうと思います。なので今回、3回目の分をビデオにとっておこしたものを用意しています。こうやってNPOが申請された時にHPなどにのせる試みをしていきますので、ご了承下さい。現在のNPOの申請状況を寺岡君お願いします。

寺岡:8月24日に申請をしまして、受理まちです。3ヵ月後の11月後半には結果が出ますので、結果が出次第ご報告をしたいと思います。
 会計につきましては、前回入会金・年会費合わせて2千円を徴収いたしましたので、3万4千円、今回6千円集まりましたので、合計4万円。2万1千円の印鑑を購入いたしましたので、現在2万円弱残っています。皆さんご協力頂き有難うございました。

吉原:次回会計報告を行いましょう。忘年会前に受理されましたら、お祝いの会という事で、忘年会の計画をナオキクリエイティブの山本さんと考えていますので、のちほど皆さんに相談いたします。
 それでは、第4回はアドアルファの中島さんにお話しいただきます。中島さんが疑問を投げかけて、知っている人が答えるような形式で進めていきましょう。

中島:アドアルファの中島と申します。前回の井手さんの後で、ものすごく緊張しています。冷泉荘のようなものが好きで、私が行った事は言ってしまえばあの連続でして、消費者側の目線での発表になっています。
 第4回のテーマとして、『記憶の継承』としています。写真は、父親と私です。

 以前私が住んでいた家が古い家で(当時は新築)、その懐かしいという思いがあって、それを子ども達にも伝えたくて、昨年同じような古い家を購入しました。
 安い物件という条件で家探しをしていると、面白かったり、変わっていたり、難解な物件があり、お宝を探しているようでした。そのなかで、幾つか気になる物件を写真に撮ってきていますので、プロの方から見てどうなのか意見を宜しくお願いします。

 【 高さのかべ 】

 私が1番始めにいいなと思って見学に行った物件は、築40年東区の名島に古屋付きの一戸建て80坪で1200万、誰が見ても寄り付かないような物件に面白そうだと思っていってみました。行ってみて分かったんですけど、ものすごい高さ塀があしました。こういう物件になると、嫌なことは物件情報に書かれないです。ですけど、この家に入ると中が素敵で庭からは宝川が見下ろせますし、ものすごく欲しくなったんですが、3,4回目に訪れた時に建築家の方から「おそらく塀の上の土地にある物件は建て替えが聞かないだろう」との意見を頂きました。
 軽自動車も入らないほど小さい駐車場や、塀によって出来た急ながけ、建て替えが不可能などの条件が重なってこの物件からは手を引いたんですが、どうしてこれほどまで気に入ったかというと、ガラスブロックが使用されていたり二段ベッドの枠をそのまま利用した窓など、今では到底考えられないことがされていたからです。結局はやはり諦めることになりました。

【 築100年一戸建て】

 物件情報には築100年と書かれていたのですが、あまりに切りがよくて本当か疑わしかったので、不動産屋に聞いてみると「たぶんそうだろう。」となんとも曖昧な答えが返ってきました。この物件も古屋付き一戸建て90坪1000万円という破格。木枠のサッシであることを条件に探していまして、この家は一階部分が残念ながらアルミに変わっていて、かろうじて2階部分に木枠のサッシが残っていました。中を見てみてわかったのが、オーナーさんはこの物件をいじる気がないようで、畳の隙間から土が見えたり、五右衛門風呂の隣に新しく浴槽を作った形跡があったり、かまどがありました。また、地震の後だったので、「被害はなかったんですか?」とオーナーさんに質問したところ、「壁が崩れただけですね。」と、実際壊れた壁はものすごくぼろぼろなのに簡単な答えが返ってきたにで、びっくりしました。オーナーさんはこんなに適当でいいんですかね?
 結局、室内の木に味が出て黒光りした感じだとかお気に入りだったんですけど、田舎すぎたのであきらめました。

【築40年、早良区にある物件】

 築40年、早良区にある80坪1350万円の物件。写真は見るからに個性的で、気に入りました。行ってみとその時代には珍しくリビングが吹き抜けで、本当に変わった物件でした。これもまた建築家の方に見て頂いたりしたんですけど、一部の窓が明らかに傾いていまして、家が傾いているのではないかといわれました。実際この家の裏側はお得意の崖地で、普通家の周りはコンクリートで固めますよね?だけど、木が1本植わっているんですけどその周りだけコンクリートがないんですよ、足を踏み入れてみるとズボズボと入り込んでいきました。なので、もっと詳しい専門家の方にきて頂いたところ、周りのコンクリートを叩いて「この下には、土が入ってないですね。このままだと壊れますよ。」との回答が帰ってきました。実は来ていただいた専門家の方もこの物件を狙っていたそうです。

【お宝発見】

 そうこうしているうちに、やっと1年半かけて見つけたんですが、これも築40年の物件で安かったので何か問題があるんだろうと思っていたんですが、意外と何もありませんでした。見てのとおり何の変哲もない普通の家で、判断基準の木の枠がのこっていました。
 ありがたいことに、オーナーさんはどこにも手をつけていなくて、木は生えっぱなしで、床も新築してから変えておらず昔の趣を感じることができ、扇形の風呂が残ってたり、キッチンさえもそのまま、トイレにいたっては人が入ると扉が閉まらないです。正直にありがとうと思いました。


 この家は2DKだったので、6畳の和室2間にキッチン、トイレはあったのですが、家族4人で住むには狭いため、このままだと私自身が1番に追い出されると思い、増改築することにしました。扇形のお風呂は残したかったのですが、嫁さんに猛反対されあきらめ、玄関が広くないと嫌なので広く取り、和室を4畳半にして、間仕切りなどを全部取り払い、元お風呂の場所にキッチン、増築部分の子供部屋は壁を設けず、つけるかどうかは後々考えることにしました。


 また、気に入っていた床材はきれいにはいで玄関に使ってもらいました。大工の方にはすごく嫌がられたんですけど…式台なんかもほしくて頼見ましたが、結局低すぎて座れません。扉なども新しく替えています。
 もうひとつのこだわりが方板ガラスで、ひたすら探し続けました。こういった住宅にあるダイヤモンドなどと名前がつけられているような物はあまり魅力的ではなく感じています。


 この写真はトイレで、狭かったため広くする際にも大工の方に嫌がられたんですが、余った床材を使用してもらいました。けれど、言い忘れた腰板は新しい杉板を使われて、ちょっとは気を使って欲しいと思ったほどです。他にも仕上げをしないままのむき出しのところもあるのですがそれも味があっていいと思っています。


 この写真は仕切ってあった6畳の部屋で、押入れなどをなくしています。私は方板ガラスが好きで来たのに、この部屋の方板ガラスは、外に投げ出されていました。基本的に天井はすべて取り払っています。4畳半の和室に3枚引き戸、この3枚引き戸がお気に入りなんですよ。梁を見たのも初めてで感動してたら、大工の方に「細いですね。」とあっさり言われてしまいました。


 これが全体の写真です。実は写真の中央左あたりにもう1本柱があったはずなんですが、大工さんが気を使って抜いてくれて残念だった上に、変わりの梁の補強も中途半端で終わっているためどうしようかと思っています。元は狭い家だったんですけど、天井上げたり、増築したりしたおかげでだいぶ広くなっています。


 この写真は元お風呂場の場所でして、元窓のところを残し食器棚の扉に再利用しようという工務店さんの工夫がかくされています。キッチンは嫁さんがデザインして、元キッチンはパソコンなど置いています。


 この写真の窓は増築部分と元の家との間に位置する窓なんですが、つながりを持たせたかったので埋めて壁にしてしまわないで買ってきた引き違い窓と入れ替えてもらいました。買ってきたものなのでサイズが合うはずもなく、親切な大工さんがこしらえてくれました。部屋の中に窓があるのも悪くないですよ。


 この写真は増築した子供部屋です。写真の左上に屋根裏倉庫スペースが見えると思うんですけど、ここに上るためのはしごはありません。なので、はしごを持ってきてまず梁に登り、梁を伝って倉庫に行っています。
また、これは外からの物件の全体写真です。うっそうとしていた庭はきれいに整えています。


 この写真は工務店の方からバカじゃないかと思われるくらい集めた古いものたちです。こういうものは結構高く売られていて、価値があるのかないのか・・・好きな人にはたまらないもので、小学校の机やON,OFFスイッチなどあります。


 家には枯れていたんですけど井戸があったり、木枠の窓ももちろんあって大事にしていたんですが、前回の第3回の井出さんの発表を聞いているときに嫁さんから方板ガラスが「割れたよ。」との電話がありまして、信濃さんに意見をいただいたりしたんですが、方板ガラスなのでなかなか作られてなくて、新聞紙でとりあえずふさぎました。子供が頭を突っ込んでガラスが割れたのに、ガラスの心配をしたためにさらに起こられましたね・・・結局は嫁さんの判断で、普通のガラスが入れられいました。


 この家は住宅情報などにも載せていただいて、この家はちょうど私の母が住んでいたころのものなので、母からだいぶののしられました。母はこの古さが嫌で新しい家を建てている訳なので、当然ですよね・・・
結局何が言いたかったのかというと、古い家をすぐ壊さずこういったように変えてでも残していくことで、子供たちに古いもののよさを伝えていきたいということです。


 古い家が好きだということを話していると熊本にすごい家があると聞いていってました。山にあって福岡からわざわざ越してこられています。家は一から息子さんと作られているそうです。


 これも熊本で、借家を美容室にしています。見た目は取ってつけた感じですけど、借家をよくここまでできたなと思いますし、原状回復なんかもどうするのか気になっています。


 中央区にあるJ-senceを紹介します。東京の丸屋先生という方の活動拠点です。主に建築家3人と私の4人、協賛いただいている企業の方で活動しています。何でこれを紹介したかというと、事務所が入ってるチャペルサイドアパートメントと言うアパートが有名らしくて、素敵だからです。アパートにつながるエントランスまでの道のりに始まって、エレベーターのマークや各階のマーク、証明など昔のままで機能は現代のものがたくさんあります。聴いた話によると、当時の状態の部屋は入居者が次々に改装していってしまって、ほとんどないそうです。この物件の魅力に屋上の物干しスペースがあります。結局、現代はこういった洗濯物を干しながらうまれるコミュニティーなどソフトな面が欠けてきているのではないかなと思います。この場所には洗濯機置き場もあったであろう場所も残って、屋上からの眺めは高台なのですばらしいです。


 今回記憶をテーマに話をさせてもらいましたが、私がチャペルサイドアパートメントのエントランスまでの道のりや、京都に暮らしていたはずないのに見て懐かしいと思うのは、日本人として育った証みたいなものじゃないかと思っていて、こういう記憶を大事にしていきたいと思っています。さすがに江戸時代を懐かしいとは思わないので限界がありますが、残すべきものは残して、壊すべきものは壊すという取り組みをビルストックでしていただきたいと思っています。たとえば、自分たちの孫が六本木ヒルズを懐かしい風景だなとは思って欲しくないですよね・・・

 話は飛ぶんですけど、私はオフィス設計をしているんですけど、J-senceの事務所はこういう雰囲気なので、「ただいま」と帰って来た感じがするんですよ。住宅なんかは無機質だったり、生活感が無いものが若干流行っていますが事務所は逆で、ソファーだったり安らげるスペースを取り入れる傾向にあります。


 私が提案したオフィスです。案で終わってしまったんですけど、家にいるかのように仕事をしたい、スチールなどの素材よりも木質の素材(シートだったりもするんですが)を使っているオフィスが増えています。若干私の仕事の宣伝をさせて頂きました。
 以上で終わらせていただきます。


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